作品

概要

作者生粋のMac使い
作品名バタフライ
カテゴリー長門SS(一般)
保管日2009-02-22 (日) 06:28:55

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ不登場
みくる不登場
古泉一樹不登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

たいていの人はこんな寒い日に外に出る気にならないであろうと思う雪の日に、ただでさえ俺のような凡庸な高校生が外に出る気にならないことは言うまでもない。
どこぞの団長様なら"こんな日にこそ不思議が転がっているのよ!"とか言いそうであるが。
だが、その団長様が
"明日もSOS団としては探索をしたいところよ、でも明日はそれ以上に団長としてやっておかねばいけないことがあるのよ。
団員の健康を心配するのも団長の義務なんだから明日はゆっくり休んでおきなさい!"
と仰せになったので俺は珍しく週末の探索という団長の気まぐれから逃れることが出来たのであった。

 

かと言って自分の学校はそれほどのスパルタ進学校であるわけでもないので、さほど宿題があるわけでもない。
こうして俺は週末にしては珍しく自宅にて怠惰なときを過ごしているのであった。
まあどうせそのうち起きてきた妹がシャミセンともに"キョン君遊ぼ~"と言いつつやってきて人が享受している貴重な安楽の時をぶち壊しにするのだろうが。

 

そう思いつつベットの上でごろごろしていると携帯にメールが来た。
実は俺にまともにメールをしてくる人は限られている。
傍若無人なハルヒならメールなんて返事に時間がかかる手段はとらず、いきなり電話してきて
"一大事よ! 駅前に集合! 30秒以内!"
と言うに決まっている。
よってその線の可能性は非常に低い。
次に考えられるのは朝比奈さんであるが、失礼ながら彼女が文明の利器の携帯電話を使いこなせるとは思えない。
あの人は未来からきたはずなのにどこか抜けているところがある。
だからこそどこかかばってあげる必要を感じてしまい目が離せない訳であるが。
未来人組織もよくわからないものだ。

 

谷口? どうせあいつは今日もまたどうせ実りもしない恋に走っているに違いないし、国木田はまじめに勉強でもしていることだろう。
そして古泉からメールが来たことなど数えても数回ほどしかない。
例えるとするならば上杉謙信が武田信玄に川中島の戦いの間に送った封書の数と同じぐらいか。
となると、メールを送ってきそうなのは一人ぐらいしかいない。
そう宇宙人で情報統合思念体の長門有希である。
となると一大事である。
今までの経験上、長門からメールが来たときに普通の用であった試しはない。
むしろ、たいていの場合地球崩壊の危機に近いものがあったことが多い。
そう考えると長門からメールというのはかなり重要なものであると言わざるを得ない。
そこまで考えたところで俺はある程度覚悟した上で、身を起こして携帯電話を見た。

 

案の定メールは長門からであったがその本文はいつもと少々違っていた。
いつもの長門ならメールの文面は至極明快で
"問題が発生した。来て。"
ぐらいのものなのであるが、今日のメールの本文はある意味普段の長門らしくなかった。
その本文は以下の通りである。
"あなたにどうしても渡したいものがある。今すぐ来てほしい。"
俺が覚えている限り長門が今まで10文字以上のメールを送ってきたことはない。
そして長門が俺に何かをくれると言ったことがあっただろうか?
確かに入学してすぐに栞入りの本を渡されたこともあったがあれは何かを貰ったうちに入らないだろう。

 

こういう状況に遭遇したとき、谷口なら
"A-の長門有希が俺にメールをくれたってことはこれは恋の予感だよな?"
とか一人で能天気に浮かれそうなものであるが残念ながら俺の脳はそう楽観的に出来ていなかった。
いい加減にあいつも現実に気がついても良さそうなものだが。

 

つい余談が過ぎた。
とにかく俺は寒さに耐えれるような上着を羽織り自転車に乗って長門のマンションへと向かったのであった。

 

何度か来たことのある長門のマンションの部屋の呼び鈴を押すとすぐに長門が出て
"開いている。入って。"
と言ってくれた。
いくら上着を着ているとは予想以上の寒さにかなりやられ気味であった俺はその言葉に喜んで甘えさせてもらうことにした。

 

そして適度に暖かい部屋に入らせてもらい、上着を脱いで、
"で、用って何なんだ? また不自然な情報の流れでも観測されたのか?"
と言った後で部屋の中央にいかにも年代物のノートパソコンが2台置いてあることに気づいた。
だが普通のノートパソコンと違ってキーボードの部分が本体よりも長くてまるでバタフライのようだ。
そしてキーボードの下半分の中央付近に赤い丸が埋め込まれている。
なんというか珍しい機種だな。
そう思っていると長門が待っていたかのように口を開いた。

 

"私も自分の部屋にパソコンが欲しいと思った。"
ああこの前のコンピ研とのゲームのときの話か。いかにも楽しそうだったからな。
"で知り合いになったコンピ研の部長に余っている機種がないか相談に行った。"
そんなことしなくてもこの前ハルヒがコンピ研からゲームに勝ったときにぶんどったものを借りればよかったのに。
"あれは一応部の備品。勝手に持ち出してはいけない。"
そういうものか。まあ何というか長門らしいな。でどうなった?
"部長はこう言った。

少し古い機種だがこの機種は君にこそふさわしい。
我々以上に使いこなしてくれることだろう。君になら喜んで2台贈呈しよう。

そうして貰ってきた2台がここにある。"

 

なるほど。部長も気前がいいんだな。それでこの変わったキーボードと埋め込まれた赤い丸は何だ?
"ThinkPad701c。"
は?
"IBMの往年の名機。
中央で二つに分かれ格納されていて使用時にはフルサイズに広がるキーボードが特徴。
その美しさからバタフライキーボードと呼ばれファンに愛されている。
中央に埋め込まれている赤い丸のパーツはトラックポイントと呼ばれていてマウスの代わりを果たす。
一般的な名称を使うならばポインティングスティック。
他の会社ではアキュポイントやNXポイントと呼ばれていたりもする。"

 

さすが長門詳しいな。で、2台あるってことは1台を俺にくれようと言うのか?
"そう。"
好意はうれしいが、悪いがこんなプロ向けの機種なんて到底俺には使いこなせそうにはない。
これはお前が貰ったものなんだからお前が使ってやれ。
その方がパソコンとしても本望なはずだ。
"あなたにはいろいろとお世話になった。これはそのお礼。
それにいくら私でも2台のパソコンを一度に使うことは出来ない。"
まあそれもそうだな。
そういうならせっかくの好意に甘えさせていただくとするか。
いくら俺でも勉強すれば少しは使いこなせるようになるだろう。

 

"あなたには素質がある。この前のゲーム対戦のときにそう感じた。"
そうかい。そいつはありがたいな。
俺はさっぱりそうは思わないが長門が言うならそうなんだろう。
"それにこのノートパソコンには私か使いやすく改良した独自のOSが入っている。
あなたなら使いこなせるはず。"
そいつは凄いな。さすが長門だな。
"あとこのパソコンには私が作ったゲームも入っている。
是非遊んでみて感想を聞かせてほしい。"
お、それは興味あるな。今遊んでみてもいいか?
"構わない。"
 じゃあダブルクリックで起動させて、と。

 

ちゅるやさんのだいぼうけん
 
・はじめから
・つづきから
・つよくてニューゲーム

 

まだシュールなゲームだな。これお前が作ったのか。おもしろそうだな。
"対戦も出来るようになっている。
対戦をするには2台をLANケーブルで接続する。"
じゃあせっかくだし対戦してみるか。本気でかかってきていいぞ。
ゲームには実はそれなりに自信があるからな。

 

こうして俺と長門は冬の寒い日に暖かい部屋の中で向かい合ってゲームに興ずることとなった。
もちろんゲーム前の自信が嘘であったかのように俺が長門にこてんぱんにやられたのは言うまでもない。
そして俺が翌日の探索でハルヒに"何有希の家で2人でゲームなんてしてたのよ。何かやらしいことしたんじゃないでしょうね?"と絞り上げれられたのも事実である。

 

でも俺はゲーム対戦をしながら思ったのだった。
少し前には読書以外に興味が全くなさそうだった長門はゲームという新たな興味を持てることを見つけたならそれはいいことじゃないか。
そうして徐々に一般人としての常識を養っていけばいいんじゃないかと。
誰だって最初は完璧な訳じゃないしな。

 

でその後持って帰ったノートパソコンがどうなったかって?
読者諸君のご賢察の通りである。
帰ってくるなり俺は妹に"キョンくん、ひとりだけたのしんでくるなんてずるーい!"と言われ、パソコンごと拉致され長門の作ったゲームは妹の格好の遊び道具となり俺はその相手を延々とさせられたのであった。
まあいつものことと言えばそれまでだけどな。

 

おしまい。

 
元ネタ
長門有希に萌えるスレ 164冊目 >>706氏
 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:01:23 (2711d)