作品

概要

作者せだえんらc
作品名13日の金曜日 黒いバレンタイン・イブ
カテゴリーその他
保管日2009-02-13 (金) 20:08:57

登場キャラ

キョン登場
キョンの妹不登場
ハルヒ登場
みくる登場
古泉一樹登場
鶴屋さん不登場
朝倉涼子不登場
喜緑江美里不登場
周防九曜不登場
思念体不登場
天蓋領域不登場
阪中不登場
谷口不登場
ミヨキチ不登場
佐々木不登場
橘京子不登場

SS

 

禁則事項!
このSS中でハルヒがやったことは違法行為です、絶対にやってはいけません!

 

 

2月13日

 

その日付を聞いて皆は何を思い浮かべるだろうか?

 

一般の健全な男女ならば期待と不安の入り混じった気持でこう思うだろう

 

「明日はバレンタイン・デー」と

 

しかしここに約1名「一般的ではない女子高生」がいたのである・・・

 

 

その日の早朝は寒かった

 

俺や長門や朝比奈さんの吐く息が白く立ち上っていた、ちなみに古泉は当然の如く無視である

 

ことの発端は昨夜遅くにかかってきた1本の電話だった

 

電話の主は涼宮ハルヒ

 

せっかくの休日を、そしてバレンタインを迎えるに当たって最も見たくない名前だ

 

俺はベッドの上でその電話を受けて、心中で溜息を吐いた

 

だがそんな俺の憂鬱などまるで頓着せずハルヒは電話の向うでまくし立てた

 

「明日の朝、あたしからみんなに最高のバレンタインプレゼントをあげるから学校に集合しなさい!」

 

そう一方的に宣言してハルヒは電話を切ったのである

 

 

そして今は朝の8時

 

俺は文句を言う気力も尽き果ててせっせと手に持った箒を掃き続けた

 

一掃きするたびにもうもうと石灰の煙が舞い上がり、一息するたびに白い息が舞い上がる

 

ふと視線を手元から脇に向けると校庭の隅の方で黒いメイド服を埃で真っ白にしてしまった朝比奈さんがこほこほと咳をしていた

 

「大丈夫ですか!朝比奈さん!」

 

あまりに痛々しいその姿に労わりの言葉をかける俺にハルヒが再び怒声を挙げた

 

「口よりも手を動かしなさい!」

 

 

ここで一旦、時間は状況説明の為に今朝の集合の時まで遡る

 

日付はすでに2月14日、時間は朝の6時過ぎとなっていた

 

そんな非常識な時間に俺達を呼び出しておいてハルヒは何の説明もせずにずんずんと校舎へとむかっていった

 

その途中、校庭一杯に白線が入り混じって交錯しているのが垣間見えたが、大きすぎて全体像は判らなかった

 

 

今になって思う、その時それがこれから始まる恐怖の序章だと気づいておけば良かったのに、と・・・

 

 

ハルヒは休日の早朝だというのに平気で昇降口のドアを開けるとさらに屋上へと登っていった

 

校庭を見下ろす屋上についた時、ハルヒは自分の腕に「超絵師」と手書きされた腕章を通すと

 

腰に手を当ててふんぞり返りながら振り返り、俺達に向かって雄雄しく宣言した

 

背後に見える眼下の校庭を指差しながら・・・

 

「見なさい!昨日あたしがあんた達にプレゼントする為に徹夜で書き上げた巨大イラストよ!」

 

俺達は校庭にでかでかと描かれていたそのイラスト・・・いや

 
 
 

「絶対に書いてはいけない絵」

 
 
 

を見た次の瞬間、想像を絶する事態の深刻さを知って階下の掃除ロッカーをこじ開け、箒を片手に全力疾走で階段を駆け下りていた・・・

 

 

そして再び時は今に帰るのである

 

俺は校庭の別の端で黙々と箒を握る手を動かしている長門に聞いた

 

「長門!アメリカの偵察衛星の通過まであとどれくらいだ!」

 

「KH13の撮影まであと56分32秒、この学校が撮影される確率は99.89%」

 

口調こそいつもと変わらぬクールさだが、あの長門ですらうっすらと顔を蒼ざめていた

 

しかしその長門の答えを聞いた古泉は、ついに難攻不落だった笑顔を崩壊させ恐怖を露に叫んだ

 

「急いでください!このままでは世界最高の解像度で証拠が残ってしまいます!隠滅の出来ない僕達は瀕死の狸です!」

 

その叫びの最後のほうはもはや疲労と恐怖でかすれていた

 

傍若無人の化身のようなハルヒですらも長門から「世界の真実」を聞かされ自分のしでかした事のヤバさを思い知り

 

必死の表情を浮かべて自分の書いた落書きを消していた

 

しかし4人がかりで今までがんばっても校庭一杯に白線引きで描かれたその落書きはまだ半分しか消えていない

 

その原因を作った張本人の癖にハルヒは再び絶叫に近い非難の声で俺のことを怒鳴りつけた

 

「キョンなんとかしなさい!ペンタゴンがこれを”あの会社”に通報したら核ミサイルよりも怖い弁護士がやってくるわ!このままではあたし達はあと1時間で滅んでしまうわよ!」

 

極度の恐怖と緊張のせいだったのだろうか?

 

その時の俺にはハルヒの声がなぜか妙なナレーションに脳内変換されていた

 

 

「急げキョンよ!SOS団滅亡まで、あと1時間、あと1時間!」

 

 

そして約1時間後

 

偵察衛星通過直前に落書きを消し終わり、それを屋上から確認した俺達は疲労と安堵でくたくたになってその場に崩れ落ちた

 

朝比奈さんはばったりと倒れたままピクリともせず、古泉の奴はまるでどこかのボクサーのように真っ白に燃え尽きていた

 

ハルヒに到っては昨夜の徹夜と先ほどまでの超重労働でうぐぅうぐぅと鼻ちょうちんで鼾をかきながら寝てやがる

 

俺はその姿のアホらしさを見て怒る気も醒めて冷静になり、そしてあることに気がついて、肩を寄せ合わせて互いに暖めあっていた長門に聞いた

 

「なぁ長門、ハルヒに本当のことを教えず、すぐに誉めておだてて追い返して
 それからお前の力であれを消してしまえば一瞬で解決したんじゃないか?」

 

しかし、その問いに長門は顔についた埃を拭おうともせずにミクロン単位で首を横に振った

 

「それでは涼宮ハルヒは事態の違法性を学ばず繰り返す可能性がある、それに・・・・」

 

そこで珍しく長門は口ごもった

 

「この力では奴らには勝てない」

 

まるでどこかの”空飛ぶ戦艦”の艦長のようなセリフだなぁ?と思いつつも

 

俺もまた疲労と安堵でがっくりと肩を落とし、眠りに落ちた

 

 

長門はキョンの肩にそっと自分のカーディガンをかけ、キョンの制服のポケットにこっそり手作りチョコを忍ばせると
情報操作で「キョンの周囲だけ」快適な気温に上昇させ、再び眼下の校庭一杯に広がる痕跡を見下ろした。

 

月よりも白く、火星よりも荒れ果てた校庭

 

その校庭に残された痕跡はもしも復元されたならこのように見えたはずである。

 
 
 

「世界一有名なアメリカ黒ネズミ」

 
 
 

 


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Last-modified: 2012-06-17 (日) 03:01:21 (2704d)